死者メーター

物語の中で死んだ人々の数をカウントしていく、ただそれだけのゆるいブログです

映画「風の谷のナウシカ」で死んだ人数をカウントしてみた(死者メーター20)

人は物語の中でいとも簡単に人を殺し、それを読んだり鑑たりして、喜怒哀楽の感情を激しく発露させる。

 

古今東西、物語の中ではいったいどれだけの人々が殺されてきたのか。これは、その数をカウントし、死者に哀悼の念を捧げるためのブログである。その名も「死者メーター」。

 

今回は、ジブリの名作『風の谷のナウシカ』を取り上げ、その死者数のカウントを試みる。

 

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目次

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【あらすじ】

 およそ1000年前、『火の七日間』と呼ばれる大戦が勃発して産業文明が崩壊。世界は、『腐海(ふかい)』と呼ばれる猛毒の瘴気を発する菌類の森に覆われており、人類は腐海の毒とそこに棲む巨虫群に怯えながら生を営んでいた。海から吹く風により腐海の毒から守られてきたのどかな辺境国家『風の谷』。ある嵐の夜、強大な軍事国家トルメキアの大型輸送機が風の谷に墜落する──。 

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【ストーリーの流れ①(ネタバレ注意)】──ユパの来谷

 腐海植物の胞子を集めていた風の谷の族長の娘・ナウシカは、森の中で王蟲(オーム)の巨大な抜け殻を見つけ、その殻の一部を持ち帰るため、爆薬とナイフを使って殻を切り取る。作業を終え、しばし考え事に耽っていたところ、遠くで銃声音が鳴り響く、誰かが蟲に襲われているに違いないと直感したナウシカは走り出し、すぐさま救出に向かう。

メーヴェに飛び乗ると、抜け殻の主と思われる巨大な王蟲が一人の人物を追っていた。ナウシカは、光玉と蟲笛を使って王蟲を鎮めることに成功する。襲われていたのは、かねてよりナウシカが尊敬していた剣士ユパ・ミラルダだった。ユパは数年間の放浪を終え、ちょうど風の谷に戻ってきたところだったのである。

 

久方ぶりに谷へ戻ってきたユパの姿を見て、風の谷の民らは大喜びする。谷の変わらぬ姿に安堵するユパ。しかしナウシカの父、すなわち風の谷の族長であるジルの身体は腐海の毒に侵され、ジルは寝たきりを余儀なくされていた。ジルは、自らの命がそう永くないと観念しているジルは、ユパに「谷に腰を落ち着けてほしい」と依頼するが、長老の大ババが「ユパは探し続けるよう定められた男じゃ」と否定し、次のような伝説を口にする。「その者、青き衣を纏いて金色の野に降り立つべし、失われし大地との絆を結び、ついに人々を青き清浄の地に導かん」──。ユパは苦笑し、「揶揄わないでほしい。自分はただ、腐海が生まれた理由を知りたいと思っているだけだ」と言う。

 

【ストーリーの流れ②(ネタバレ注意)】──巨神兵の墜落

嵐の夜、西方の強大な軍事国家トルメキアの大型船が、突如として風の谷に飛来する。その船が不時着しようとしていることを見て取ったナウシカは、メーヴェに乗り、対岸への誘導を試みる。船のブリッジに接近したナウシカは、無数の蟲が機体に張り付いている光景を目撃し、「腐海に降りて蟲たちを殺したのだ」と察する。蟲との戦いで操縦不能に陥った大型船は、ナウシカの必死の叫びも空しく、墜落して爆発炎上する。もちろん、乗組員は全員死亡だ。

 

この大型船(輸送船と思われる)には、いったい何人の乗員が乗っていたのか。実在する輸送機を参考に、推定乗員を割り出すことにする。この大型船は相当に大きく見えるので、世界最大の輸送機をモデルとしよう。調べたところ、世界最大の輸送機は、ウクライナ旧ソ連)の『An-124 ルスラーン』であることが判明した。その乗員は6名。よって、トルメキア大型船の墜落による死者数は、乗員6名(8名に上方修正、理由は後述)とする(実際には、もっとたくさんの乗員がいそうだけどね)

 

墜落現場に降り立ったナウシカは生存者を探し始め、残骸の中から一人の少女を助け出す。少女は、ペジテの王女ラステルだった。ラステルは手錠をかけられており、このことから、ペジテがトルメキアの侵攻を受け、ラステルは虜囚の憂き目に遭っていたことが推測された。致命傷を負ったラステルは、残る力を振り絞って「積荷を燃やして」とナウシカに懇願し、ナウシカが「全部燃えたわ」と伝えると、安心したかのように静かに息を引き取る

 

墜落による衝撃と火災で、人間を含む生物はすべて死亡したかと思われたが、たった一匹、腐海に棲む蟲の一種である『ウシアブ』だけは生き残っていた。傷ついて飛べないウシアブは仲間を呼び始める。焦る風の谷の民は、銃で仕留めようと画策するが、ナウシカはそれを押しとどめ、虫笛を駆使してウシアブを腐海へ戻すことに成功した。歓喜する風の谷の民ら。

 ところが、夜が明けて事故の全貌が明らかになると、ウシアブ以外に生き残っている生物がいることが判明した。一見すると、巨大な肉塊にしか見えないが、ユパはそれが『火の七日間』で世界を滅ぼした旧世界の人工生命体『巨神兵』であることを確信する。巨神兵は死に絶えたと思われていたが、1000年にわたってペジテの地下深くで眠り続けていた一体がおり、それが蘇ったものと考えられた。トルメキアの大型輸送機は、その移送中に墜落したのだ。

巨神兵像 レプリカ
 

 

【ストーリーの流れ③(ネタバレ注意)】──トルメキアの侵攻

 一夜明け、谷の人々は総出で、墜落した大型船に付着していた腐海植物の胞子を焼き払う作業に従事する。たった一つの胞子でも残せば、そこから腐海植物が育ち、谷が腐海に飲み込まれることになるからだ。

 

同時に、谷の人々は墜落死した乗員の埋葬作業にも従事。このとき、9つの埋葬場所が描写される。よって、墜落で死亡した乗員は、ラステルとその他8名に訂正する。

 

そこへ、突如としてトルメキアの船団が飛来し、風の谷を襲撃する。ナウシカは住民に城へ避難するよう指示していたが、一隻の船が城にとりついたのを見るや、全速力で駆け出す。船から城へ侵入するトルメキア軍。その直後、大きな銃声が響く。父・ジルの居室に駆け込んだナウシカが見たのは、床に横たわるジルの亡骸だった。怒りに我を忘れたナウシカは、その場にいた軽装のトルメキア兵を次から次へと殺害していく。ナウシカが殺害したトルメキア兵は(最低でも)6名と思われる。

 

その場にいた軽装備の兵を全滅させたナウシカは、次の狙いを重装備の装甲兵に定め、切りかかった瞬間、ユパが間に割り込んだ。ナウシカを思いとどまらせたユパは、昨晩に起こった出来事を将校と思しきトルメキア兵に説明し、その場を収める。我に返ったナウシカは、脱力して気を失った。

被害者を拡大させたくないと考えたナウシカは、トルメキアに従うことを決め、谷の人々を説得する。集められた風の谷の民の前で、トルメキアの皇女クシャナがこの地を訪れた目的を告げる。その目的とは、「腐海をすべて焼き払い、人間の手に大地を取り戻す」というものだった。そこへ大ババが現れて、「腐海に手を出してはならぬ」と警告する。

 

巨神兵~トルメキア軍~クシャナ殿下

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その夜、ユパがナウシカの部屋を訪れると、もぬけの殻だった。ナウシカのペット、キツネリスのテトの後をついていくと、秘密の通路が見つかった。階段を地下深く下りていった先の室内に、腐海植物に囲まれたナウシカの姿があった。驚くユパ。なぜなら、猛毒を放つはずの腐海植物が瘴気を出さず、部屋の空気が清浄を保っていたからだ。

ナウシカによれば、「きれいな水と土で育てれば、腐海植物は毒を出さないことがわかった」という。それを聞き、ユパは再び驚愕する。

 

【ストーリーの流れ④(ネタバレ注意)】──腐海の最深部へ

 ナウシカとミト爺、そして4人の住民が、人質としてトルメキアに送還されることになる。ナウシカとミト爺はトルメキアの船に乗り、それ以外の4人は物資とともに、推進力を持たない貨物機のバージに乗り込み、風の谷を飛び立った。トルメキアの船団は、通称『バカガラス』の大型船4機と戦闘艇コルベット、そしてバカガラスに牽引されるバージである。

 

本来なら、巨神兵も本国に送り届けるのが筋だが、あまりにも巨大で、船がその重みに耐えられないことが想像されたため、クシャナは風の谷で巨神兵の復活作業を進める決断を下した。

 

順調に飛行を続けていた矢先、一機の赤い戦闘機がトルメキア船団を急襲する。その戦闘機は、ペジテのガンシップだった。ガンシップの銃撃により、最初にバカガラス二番艦が撃墜される。当然、乗組員は全員死亡である。

 

このバカガラスの乗員は何名なのか。ネットで調べたところ、バカガラスのモデルは旧ドイツ軍の『Me 323』という機体であることが判明。100人の武装兵士を乗せることができたらしく、バカガラスには装甲兵が乗っている描写があるので、乗員は100名ということにする。二番艦撃墜により、100名が死亡した。

 

次に三番艦が撃墜され、しんがりを務める四番艦を爆発で巻き込み、計200名が死亡する。さらに、ナウシカとミト爺、クシャナらが乗る一番艦も銃撃を受けて大破。100人が死亡するが、ナウシカとミト爺、クシャナは積載していた風の谷のガンシップに乗り、すんでのところで脱出する。

 

ナウシカらは、ワイヤーが切れて落下したバージを救出すべく、ガンシップで、雲海の下に広がる腐海へ降りていった。

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【ストーリーの流れ⑤(ネタバレ注意)】──腐海が生まれた理由

雲の下は腐海の最深部で、濃密な瘴気に包まれていた、バージを不時着場所まで誘導するが、そこは王蟲の巣窟だった。王蟲と交感したナウシカは、ペジテのガンシップに乗っていたパイロットがまだ生きていることを知り、ミト爺らに「1時間経っても戻らなければ、谷へ帰りなさい」と告げ、メーヴェパイロットの救出に向かう。

 

蟲たちの大群に襲われ、絶体絶命のピンチに陥っていたパイロットの少年を、あわやというところで救出したナウシカ。しかし、巨大な飛行蟲と激突し、意識を失ったナウシカメーヴェ、そしてパイロットの少年は腐海の最深部へ落ちて行った。

 

目を覚ましたナウシカは、助けた少年パイロットがペジテの王子アスベルで、彼がラステルの兄だと知る。周囲を見回したナウシカは、腐海最深部の光景を見て驚愕する。そこの空気は清浄で呼吸が可能であり、周囲に澄んだ水が流れていた。そのとき、上空から砂が流れ落ちてきた。手に取ると、風の谷の井戸の底で採取できる清浄な砂と同じものだった。それがなぜ、頭上の腐海植物から落ちてくるのか。ナウシカはひとつの考えにたどり着く。

──腐海の木が大地の毒をその身に取り込んで枯れると、木々は無毒化された砂になって零れ落ちていく。つまり腐海は、かつての『火の七日間』で汚染された地球の大地を綺麗にする役割を担っていた。蟲は、その森を守るために存在していたのだ──。

腐海の謎が解け、腐海が生まれた真の理由を突き止めたナウシカは、涙を流す。

 

【ストーリーの流れ⑥(ネタバレ注意)】──ペジテ壊滅

アスベルにメーヴェのエンジンを修理してもらったナウシカは、アスベルとともにペジテに向かう。彼らが目にしたのは、蟲たちに壊滅させられたペジテの変わり果てた姿であった。ペジテ市のシンボルである巨大なセンタードームまで王蟲に食い破られたことを知ったアスベルはショックを受け、思わず「せっかくトルメキア軍を全滅させたのに、これでは再建できない」と口走ってしまう。それを聞き、訝るナウシカ

 

そこへ、ペジテの大型貨物船ブリッグが飛来する。乗り組んでいたのは、ペジテの市民たちだ。ペジテはトルメキアの侵攻を受けて制圧され、ラステルが囚われたのは前述のとおり。侵攻理由は、ペジテの地下深くから掘り出された巨神兵を奪うためだった。侵攻を許したものの、反撃を期したペジテ人たちは、ペジテに駐留するトルメキア軍を蟲に襲わせて、全滅させたのである。アスベルは「なんてことをした」と憤るが、そこで、新たな事実が判明する。

 

ペジテの人々は、風の谷に駐留するトルメキア軍を滅ぼすため、作戦の第2弾、すなわち風の谷を蟲たちに襲わて、風の谷にある巨神兵を奪い返す作戦をすでに発動させていたのだ。そしてトルメキアと同じように、巨神兵を使って、腐海を焼き払おうと考えていた。真相を知ったナウシカは激怒し、メーヴェに乗り込み風の谷に向かおうとするが、ペジテの人々に抑え込まれ、ブリッグ内の牢に囚われてしまう。

 

【ストーリーの流れ⑦(ネタバレ注意)】──風の谷の反乱

風の谷に留まり、巨神兵の復活作業を進めていた参謀のクロトワは、クシャナナウシカを乗せた船団が壊滅したという報告を受ける。クシャナが本当に死亡しているのであれば、彼は『巨神兵』という強大な力を手にすることになる。眠っていたクロトワの野心に、再び灯が点き始める。

 

実際にはクシャナは生存しており、腐海最深部からともに戻ってきたミト爺らに監禁されていた。そのとき、谷で大事件が勃発する。大型船墜落時、すべて焼却したと思われていた胞子が残っており、成長してすさまじい瘴気を発していたのだ。風の谷は、森一つ分の全焼却を余儀なくされ、「あいつらさえ来なければ」と、風の谷の住民たちの怒りの矛先がトルメキア軍に向けられる。そして、反乱が勃発した。

 

武器を手にした風の谷の住民たちが、トルメキア兵に襲い掛かった。このとき、装甲兵の反撃を受けて、住民2人が殺害されている。さらに直接的な描写はないが、トルメキア兵の一人が殺害されたようだ。なぜなら、クロトワに対し「最後の一人がやられました」と報告する兵の姿が描かれているからだ。「最後の一人」というからには、他にも犠牲者が出た可能性があるが、描写も言及もないことから、特にカウントしないこととする。

 

その頃、監禁状態から抜け出したクシャナが城に戻り、再び指揮を執り始める。クロトワは「短い夢だった」と嘆息する。反乱は激しさを増し、谷の住民の多くは『酸の海』近くに放置されたままの、旧世界の遺物である宇宙船の残骸に立て籠もる。

 

一方、ブリッグ内に捕らえられていたナウシカを、ラステルの母が自由にする。「今からなら、風の谷の人々を救えるチャンスがある」と促されたナウシカ、アスベルとともに、メーヴェが保管された船内の貨物室へ向かう。

 

そこへトルメキアの高速戦闘艇コルベットが急襲、ブリッグにトルメキア兵が侵入し、激しい戦闘が繰り広げられる。最初に、ペジテ人1名が銃撃を受けて死亡。次に、直接的な描写はないが、壁にもたれかかってグッタリしているペジテ人が映っており、彼も死んだものとしてカウントする。続く戦闘で、ペジテ人4名が刺殺される

 

メーヴェが保管された荷物室では、ナウシカが飛び立つ準備をしていた。そこへ、トルメキア兵1名が侵入、アスベルと取っ組み合いになる。「行け!」というセリフとともに、アスベルがメーヴェを船外に蹴り出し、ナウシカは空の人となる。ちなみに、このトルメキア兵はアスベルに殺害されたと推定されるため、死者にカウントしておく。なぜなら、アスベルは最後まで生き残っているからだ。おそらく、船外にでも投げ飛ばされたかどうかしたのだろう。

 

ブリッグを発ったナウシカは一路、風の谷を目指す。

それを見たコルベットメーヴェを追い、激しい銃撃を加えてくる。あわやというところで、ナウシカを捜索していたガンシップ(ミト爺とユパが操縦)が現れ、コルベットを撃墜する。ブリッグ急襲前の描写によると、コルベットには、ブリッジと銃座などに計11人の乗員の存在が描写されていたことから、ここでも11人死亡とカウントする。ミト爺とユパ、ナウシカがここで合流する。

その後、ガンシップはブリッグ救出に向かい、ユパがガンシップからブリッグ目がけて飛び降りる。ブリッグに降り立ったユパはトルメキア兵3名に取り囲まれるが、『腐海一の剣士』と謳われたその凄腕を存分に見せつけ、あっという間に3名のトルメキア兵を切り倒し、士官と思しき人物を人質に取る。その直前、ユパが階段下の士官のそばへジャンプする際、画面の右下にトルメキア兵が一人転がっているのが確認できる。これはユパが倒したものではなく、ペジテ人との戦闘で死んだ新たな死者と思われるため、カウントしておく。また、ユパが士官に剣を突き付けている背後で、窓枠に倒れ掛かって死んでいるペジテ人の姿が見える。彼も新たな死者としてカウントしておこう。

 

転がっている兵と窓枠にもたれかかっている兵は、両名とも殺される理由は何もないが、おそらく「絵的に空間があるから、死体でそのスペースを埋めておこう」という製作者の意図が働いたものと推察される。

 

【ストーリーの流れ⑧(ネタバレ注意)】──王蟲の暴走、そしてナウシカ復活

酸の海上空までやってきたナウシカとミト爺、雲の下へ降りると、地面が真っ赤に染まっていた。怒りに我を忘れた王蟲たちが暴走し、大地を埋め尽くしていたのだ。王蟲たちは、風の谷へ向かっていた。それはペジテ人の仕業で、捕らえた王蟲の子を囮にして王蟲の群れを呼び寄せていたのである。彼らの暴挙を止めるべく、ナウシカはペジテ人2人組が乗る飛行艇に飛び乗る。飛行艇は、酸の海の小島に墜落する。手にした機関銃を2人組に向けたナウシカは、「私たちを、王蟲の群れの前に降ろしなさい」と命令する。

 

一方、ミト爺はガンシップを飛ばして、風の谷の住民たちに危険を報せる。風の谷の住民と対峙していたクシャナは、「王蟲の群れが来る。高いところへ逃げろ」というミト爺の報告を聞くや、培養途中の巨神兵を強制的に覚醒させて、王蟲の撃退に使用しようと考える。クロトワは「まだ早すぎます」と反対するが、クシャナ「いま使わずに、いつ使う」と一蹴。

 

連れてこられた巨神兵が、迫りくる王蟲の大群目がけてプロトンビームを2度にわたって発射し、多くの王蟲を薙ぎ払った。しかし、肉体が腐り落ちて絶命してしまう。絶望的な状況となり、トルメキア兵は背を向けて逃げ出す。

 

そのとき、ペジテの飛行艇が現れ、ナウシカ王蟲の子を暴走する王蟲集団の前に降ろす。それを目撃した風の谷の住民らは、悲鳴を上げる。王蟲の暴走は止まることなく、無情にもナウシカの身体は天高く跳ね飛ばされてしまう。

 

一方、ブリッグを制圧したユパ。ペジテ人らとともに酸の海近くに達すると、真っ赤に染まった大地がしだいに青色に変色していく光景を目にする。酸の海では、王蟲が暴走をやめ、周囲を恐ろしいほどの静寂が包んでいた。

 

暴走をやめた王蟲たちは、ナウシカの亡骸と、彼女に救われた王蟲の子をぐるりと取り囲んでいた。王蟲らは黄金の触手を伸ばしてナウシカを持ち上げ、触手でナウシカの傷を癒す。すると、ナウシカが目を覚ました。ナウシカは、無数の触手が作り出す黄金の草原の上を嬉しそうな様子で歩き回る。その様子を伝え聞いた大ババは、「その者、青き衣をまといて金色の野に降り立つべし~」という伝説を(盲目ながら)目の当たりにしていることを知り、感動のあまり泣き崩れる。王蟲らは森へ帰り、ナウシカは風の谷の住民やアスベルと再会を喜び合うのだった。

 

そして、エンドクレジット。

死者数をまとめると以下になる。

見方は、死者・・・殺人者/死因 である。

 

【確定死者数】

トルメキア大型船の乗組員8名──なし/墜落

ペジテ王女ラステル──なし/大型船の墜落

風の谷の族長ジル──トルメキア兵/銃殺

トルメキア兵6名──怒りに我を忘れたナウシカ/刺殺

バカガラス二番艦乗員100名──ペジテ王子アスベル/ガンシップの銃撃

バカガラス三番艦乗員100名──ペジテ王子アスベル/ガンシップの銃撃

バカガラス四番艦乗員100名──間接的にペジテ王子アスベル/三番艦の爆発に巻き込まれる

バカガラス一番艦乗員100名──ペジテ王子アスベル/ガンシップの銃撃

風の谷の民2名(反乱時、最初に倒された)──トルメキア兵/剣戟など

トルメキア兵1名(最後の一人がやられたとの言及)──風の谷の民/不明

ブリッグに乗り込んでいたペジテ人──トルメキア兵/銃殺

ブリッグに乗り込んでいたペジテ人(座り込んで死んでいるのが見える)──トルメキア兵/たぶん銃殺

ブリッグに乗り込んでいたペジテ人4名──突入したトルメキア兵/刺殺

荷物室みたいなところで、アスベルとナウシカを襲ったトルメキア兵1名(推定死亡)──ペジテ王子アスベル/不明

トルメキアの戦闘艇コルベット乗員(最低でも)11名──ミト爺/ガンシップの銃撃

トルメキア兵3名──ユパ・ミラルダ/刺殺

トルメキア兵1名(トルメキア士官の「打ち取って名を上げろ」というセリフ時、画面右下に転がっているのが見える)──不明/不明

ペジテ人1名(窓枠に倒れ掛かって死んでいる描写がある)──トルメキア兵/不明

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【計442名】

 

久々に鑑たけど、壮大な世界観と凝ったディテールなどなど、宮崎駿監督の作家性の高さにあらためて驚かされた。これだけ濃密な内容を、よくぞ2時間という短い尺に収めて映像化できたもんだ。畏敬の念を覚える。

 

この物語を成立させるために、今日も多くの人が殺された。

 

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