死者メーター

物語の中で死んだ人々の数をカウントしていく、ただそれだけのゆるいブログです

機動戦士Zガンダム第5話「父と子と…」で死んだ人数をカウントしてみた(死者メーター59)

人は物語の中でいとも簡単に人を殺し、それを読んだり鑑たりして、喜怒哀楽の感情を激しく発露させる。

 

古今東西、物語の中ではいったいどれだけの人々が殺されてきたのか。これは、その数をカウントし、名も無き死者に哀悼の念を捧げるためのブログである。その名も「死者メーター」。

 

今回は『機動戦士Zガンダム第5話:父と子と』を取り上げ、その死者数のカウントを試みる。

 

1話目から読みたい人はコチラ↓

www.death-meter.com

 

目次

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【あらすじ】

 エマ中尉とともにアレキサンドリアを脱出し、アーガマへ身を寄せたカミーユの父フランクリン・ビダン大尉は、整備作業中のメカニックマンからレーザートーチを奪った。フランクリン大尉はそれをメカニックマンに突き付けて脅迫し、クワトロ専用リック・ディアスに無理やり乗り込むと、アレキサンドリア目指してアーガマを飛び立った──。

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【ストーリーの流れ(ネタバレ注意)】

冒頭、ノーマルスーツを着た人間が宇宙空間を漂っている描写がある。死んでいるように見えるため、死者としてカウントしておく。

 

ティターンズの旗艦アレキサンドリアで、バスク・オム大佐とジャマイカン少佐が作戦会議を開いていた。前話で、ティターンズモビルスーツパイロットたちは、たった1機のリック・ディアス(クワトロ機)に翻弄された。地球育ちの人間だけで構成されるティターンズパイロットでは、宇宙での経験豊富なエウーゴパイロットに歯が立たないのだ。そのことをジャマイカン少佐が指摘、エリート意識が強いバスク・オム大佐も、渋々ながら認めざるを得なかった。

 

両名は今後の方針を決定。旗艦アレキサンドリアサラミス改級巡洋艦ボスニア、同じくサラミス改級巡洋艦サチワヌでアーガマを追撃し、バスク・オム大佐はサラミス改級巡洋艦ブルネイに移動してグリプスに戻り、ジャマイカン少佐はエウーゴの本拠地を突き止めることになった。バスク・オム大佐は、エウーゴの中枢と秘密基地の在りかを探るための手段について「遠慮する必要はない」と告げる。

 

同じ連邦軍でありながら、バスク・オム大佐ですら「エウーゴ」という組織については未知の部分が多いようだ。確かに、本編でもティターンズについては多くの描写があるが、エウーゴについては説明が省略されている。

 

ティターンズからエウーゴへ寝返ったエマ・シーン中尉とともに戦艦アーガマへ移ってきたフランクリン・ビダン大尉は、アストナージ・メドッソ曹長アーガマの整備クルーたちに、マークⅡの整備についてあれこれと口出しし、アストナージらを閉口させていた。

 

フランクリンは、整備クルーからレーザートーチを奪い、それをアストナージに突き付けて、「リック・ディアスのところに案内しろ」と脅す。銃代わりというわけだ。フランクリンは、エウーゴモビルスーツリック・ディアス」を奪い、それを手土産にアレキサンドリアへ戻ることを企図していたのだ。敵モビルスースを奪還した英雄として帰還すれば、ティターンズ内での影響力が向上すると考えたのだろう。

 

クワトロ専用リック・ディアスコクピットに乗り込んだフランクリンは、アストナージを宇宙空間に向けて押し出した(アストナージはすぐに救出された模様)。

アーガマを離れるフランクリン大尉。すぐにロベルトとアポリーがリック・ディアスで出撃し、フランクリン大尉を追う。クワトロ大尉がデッキへ急行すると、マークⅡの前で、カミーユとレコア少尉が揉めていた。カミーユは父の行動を謝罪したうえで、「自分が出撃する」と言って聞かない。

 

クワトロ大尉が、カミーユが乗り込もうとしていたマークⅡ(エウーゴカラーにチェンジ済み)で出撃した。アーガマのブリッジでは、ブレックス准将とヘンケン艦長が旧ジオン軍の「赤い彗星」について話していた。ア・バオア・クー戦に参戦経験があるヘンケン艦長は、クワトロ大尉に「赤い彗星」と同じ匂いを感じるといい、ブレックス准将も同意する。第5話という序盤エピソードで、クワトロ大尉の正体が早くも(半ば)明かされることになるとは予想していなかった。レコア少尉に連れ戻されようとしていたカミーユは隙を見て反転し、再びデッキへ向かう。

 

アレキサンドリアは、数機の正体不明機の接近をキャッチ。ジャマイカン少佐はハイザック隊を出撃させるとともに、正体不明機に向けて砲艦射撃を指示した。出撃したハイザックの1機には、ジェリド中尉が搭乗する。

技術者であるフランクリン大尉はモビルスーツを熟知しその操縦にも長けていたが、さすがに本職のパイロットには叶わない。あっという間にアーガマ隊に追いつかれ、クワトロ搭乗のマークⅡに羽交い絞めにされる。

 

そのときジェリド中尉らのハイザックが急接近、アレキサンドリアからの砲艦射撃により、マークⅡは右足を失う。フランクリン搭乗のリック・ディアスは自由となった。アーガマは、アレキサンドリアに向けて一斉砲撃、アレキサンドリアも反撃する。このとき、箱型の格納庫のようなものでサラミス改級巡洋艦ブルネイに向けて移動中だったバスク・オム大佐らを、軽い衝撃波が襲う。それにより、箱の外に張り付いていたティターンズ兵と思われる1名が振り放され、宇宙を漂い始めてしまった。戦闘中ということもあり、この人物の回収はおそらく不可能と思われる。死者としてカウントする。

 

アーガマのデッキに向かったカミーユは、いつの間にか宇宙から回収されて生還し、再びマークⅡの整備を行なっていたアストナージを騙して、カラーチェンジが終わっていないうえバラシ作業中だったマークⅡに乗り込む。レコア中尉は渋々ながら出撃を許可、ヘンケン艦長は止めるよう指示するが、ブレックス准将は、カミーユの適性をテストするいい機会になると、出撃を許可する。カミーユは、左腕が取り外されたままのマークⅡ1号機でアーガマを発した。

 

カミーユは、すぐにフランクリン搭乗のリック・ディアスと遭遇、ビームライフルで狙いをつける。フランクリンは「親を撃つのか」と叱責、カミーユは発砲を躊躇う。隙を見逃さず、フランクリン中尉がカミーユを銃撃。それを合図に、カミーユとフランクリン親子がモビルスーツ戦を展開した。

 

そのとき、砲艦射撃の流れ弾がリック・ディアスの腹部を貫通した。コクピットは頭部近くにあったらしく、フランクリンはすぐに脱出するが、リック・ディアスの爆発に巻き込まれて死亡した。母ヒルダに続き、カミーユは父までをも目の前で失ったことになる。カミーユは両拳をコンソールに激しく叩きつけた。

 

ハイザックで出撃したジェリド中尉だったが、敵機を見失うという失態を演じる。信号弾の合図を機に、ハイザック隊は戦場から撤退した。

 

無事にブルネイに移動したバスク・オム大佐は、アーガマの追撃をジャマイカン少佐に指示、一方のアーガマでは、ヘンケン艦長が地球へコースをとるよう指示した。

 

アーガマの休憩室では、クワトロ大尉とレコア少尉が、両親を失ったカミーユを慰めていた。そこへ、エマ中尉が入室。ティターンズから寝返ったエマ中尉は保護観察中の身らしく、監視役が付き添っていた。

 

クワトロ大尉は、エマ中尉のことをまだスパイだと疑っていた。聞けば、エマ中尉の両親は地球に居住しているという。エマの両親はいつティターンズに人質に取られてもおかしくない状態であり、クワトロ大尉が疑いを抱くのも当然と言えば当然だ。実際、カミーユの両親は交渉の道具として人質に取られており、最終的に殺されている。

 

エマ中尉も加わり、大人3人でカミーユをなだめにかかるが、カミーユは冷静さを取り戻さない。愛人に走った父、仕事に満足して愛人の存在を許容していた母を、カミーユは心底から軽蔑していた。「そんな親でも自分の親だ」という屈折した思いを抱え、それがストレスになっているようだ。未熟なカミーユは、それをうまく内部でコントロールする術を知らず、外に向かって感情を爆発させてしまう。

 

クワトロ大尉は、「親の不幸を背負った」という意味で境遇が似ているシャア・アズナブル(クワトロ大尉自身のことだけどね)の例を持ち出し、「次の世代の子どもたちのための世界を作ればいい」と説得するが、カミーユは納得せず、休憩室を飛び出す。自室に戻ったカミーユは、激しく泣き崩れるのだった。

 

というところで、第5話が終了。

今回の死者は以下だ。

 

【確定死者数】

宇宙を漂う身元不明者1名──不明/不明

ティターンズ兵士1名──不明/酸欠?

フランクリン・ビダン大尉──不明/砲艦射撃が直撃し、モビルスーツが爆発

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【計3名】

 

この物語を成立させるために、今日も人が殺された。