死者メーター

物語の中で死んだ人々の数をカウントしていく、ただそれだけのゆるいブログです

機動戦士Zガンダム第3話「カプセルの中」で死んだ人数をカウントしてみた(死者メーター56)

人は物語の中でいとも簡単に人を殺し、それを読んだり鑑たりして、喜怒哀楽の感情を激しく発露させる。

 

古今東西、物語の中ではいったいどれだけの人々が殺されてきたのか。これは、その数をカウントし、名も無き死者に哀悼の念を捧げるためのブログである。その名も「死者メーター」。

 

今回は『機動戦士Zガンダム第3話:カプセルの中』を取り上げ、その死者数のカウントを試みる。

 

1話目から読みたい人はコチラ↓

www.death-meter.com

 

目次

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【あらすじ】

マークⅡを盗んでグリーン・ノアを飛び立ったカミーユは、クワトロ大尉の案内でエウーゴの戦艦アーガマに到着。ティターンズバスク・オム大佐は、カミーユの両親を人質に取ってマークⅡの返還を要求するという、軍隊にあるまじき暴挙に出る。

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【ストーリーの流れ(ネタバレ注意)】

グリプス(グリーン・ノア2)に呼び出されたブライト・ノア中佐は、バスク・オム大佐から親書を預かり、ティターンズ創立者ジャミトフ・ハイマンに直接手渡すよう命じられる。前話でティターンズ軍人から集団暴行に遭ったブライトの顔は、絆創膏だらけ。暴行の片棒を担いだバスク大佐が、何事もなかったかのようにブライトを呼び出して「パシリ」に使っているところに、ティターンズという(エリート意識を持った)集団の異常さがうかがえる、というか、その異常さが描写されている。

 

ガンダムマークⅡを持ち逃げしたカミーユ・ビダンは、エウーゴの戦艦アーガマに到着し、ブレックス・フォーラ准将やヘンケン・ベッケナー艦長、レコア・ロンド少尉らと面会していた。そこへ、敵(ティターンズモビルスーツが接近しているとの報が入る。

アーガマを足止めするために、サラミス級巡洋艦ボスニア」からライラ・ミラ・ライラ大尉がモビルスーツガリバルディβ」で出撃した。ライラは好戦的な人物のようで、出撃時に、「アーガマの臨検が目的だから、撃沈しないように」と上官から釘を刺されている。

 

1/100 Zゼータガンダム ガルバルディβ

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それにしても、Zガンダムに登場するモビルスーツはどれも特徴が薄くて、パッと見て判別がつきにくい。前作『機動戦士ガンダム』では、一目見て「ドムだ」「ゲルググだ」とわかったが、Zガンダムではそうはいかず、登場するたびに「これは何の機種だっけ?」といちいち調べる必要がある。かなり面倒だ。

 

バスク・オム大佐の命令で、地球連邦軍技術士官であるカミーユの父フランクリン・ビダン、母ヒルダ・ビダンが呼び出され、バスク大佐が座乗する宇宙巡洋艦アレキサンドリア」に乗船させられた。名目は「敵モビルスーツの目視確認と、手に入った場合の装甲の材質確認」とのことだったが、どうやら狙いは別にあるようだ。

 

ライラ大尉は、アーガマを発見。停船を命じる信号を送る。アーガマブレックス准将らはその要求に従わず、クワトロ大尉らにモビルスーツ発進の準備を進めさせる。アーガマを見い出したライラ大尉が「エウーゴにあんな戦艦があったのか」と驚く描写があるのだが、エウーゴティターンズは友軍である。戦艦を作るには莫大な予算と人員、時間が必要になるため、「対立しているとはいえ、同じ地球連邦軍に所属していて、しかも『大尉』というそこそこの階級が与えられているライラ大尉の耳に、アーガマ建造の噂が入らないはずがないだろう」と、違和感を覚えたことを記しておく。

 

ライラ大尉は、アーガマに対し、所属を明らかにするよう無線で呼び掛ける。そして、場合によっては、撃沈すると脅した。ヘンケン艦長が、「所属はエウーゴ」と表明すると、ライラ大尉は攻撃に踏み切るが、それより先に、控えていたクワトロ大尉のリック・ディアスガリバルディを攻撃、しかしライラ大尉は不意打ちをかわし、その能力の高さにクワトロ大尉は驚く。一方のライラ大尉も、クワトロ大尉が搭乗するリック・ディアスの機体が赤く塗られていることから、「赤い彗星か?」と訝る。

 

ライラ大尉率いるモビルスーツ部隊の実戦慣れした動きに、クワトロ大尉は舌を巻く。それでも、クワトロ大尉はモビルスーツ1機を撃沈した。機種は不明だ。ライラ大尉の母艦ボスニアから撤退命令が出たのを機に、ライラ以下のモビルスーツ隊は後退した。敵モビルスーツの手際よい撤収を見て、ブレックス准将とヘンケン艦長は「何かある」と怪しむ。

 

ブレックス准将とヘンケン艦長の勘は的中する。

アレキサンドリア艦内で、ティターンズが作戦会議を開いていた。作戦内容は、「交渉」によってエウーゴからマークⅡを取り戻すことにあるという。作戦参謀のジャマイカンは、ジェリド中尉に対し、出撃後、後続のカプセルが視界に入ってから命令書(おそらく記録に残したくない命令のため、手書きなのだろう)を開けと指示し、交渉役としてアーガマに赴くエマ中尉に対しては、交渉時間は15分間だけだと指示した。エマ中尉が、カプセルについて「爆弾か何かか」と質問したものの、ジャマイカンは言葉を濁した。何か裏があるようだ。

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そして、アレキサンドリアからエマ中尉、ジェリド中尉らがモビルスーツで発進した。そのモビルスーツ隊をアーガマのレーダーが捕捉。エマ中尉搭乗のマークⅡ3号機は白旗を掲げ、交渉の意思を伝えていた。ヘンケン艦長は怪しむが、先ほどの戦闘でエンジンが損傷しており、時間稼ぎのためにそれを受け入れる。

エマ中尉がマークⅡでアーガマに着艦、たった一人で敵艦に乗り込んでくる。エマ中尉は、バスク・オム大佐からの親書をブレックス准将に手渡し、即答での返事を迫った。親書を一瞥したブレックス准将は怒りに震え、エマ中尉に対し、親書の内容を知っているかと尋ねた。エマ中尉は、把握していないと答える。

 

親書を受け取り、中身を一読したエマ中尉は震え出す。内容は、カミーユ・ビダンの引き渡しと彼が盗んだマークⅡを返却しなければ、カミーユの両親を殺害すると記されていた。つまり、フランクリンとヒルダ夫妻は、人質としてアレキサンドリアに連れて来られたのだ。

 

親書を読んだエマ中尉は、ティターンズという組織の本質を垣間見た。ブレックス准将が指摘するところによれば、ティターンズとは、統率が取れた軍隊ではなくただの私兵、それも地球の引力に魂を引かれた者たちの私兵だという。

 

ブレックス准将らが対策を協議する中、アーガマのレーダーが正体不明のカプセルをキャッチした。一同は、カプセルの中に人影を確認する。エマ中尉はホログラムのはずと主張するが、ヘンケン艦長は、カミーユを呼んで人相を確認させろと命令する。

 

一方、出撃したジェリド中尉はカプセルを確認、命令書を開くと、そこには、エウーゴがカプセルを奪おうとする素振りを見せたら、カプセルを撃てと記されていた。何も聞かされていないジェリドは、そのカプセルに人が乗っているとは想定しておらず、戦艦を沈めるほどの威力を誇る強力な爆弾だと思い込んでいた、いや、思い込まされていた。

 

カミーユは、アーガマ船内で交わされていた会話から、カプセルの人物が両親であると知り、両親を救うため、エマ中尉が乗ってきたマークⅡ3号機に勝手に乗り込んで出撃した。カミーユはカプセル内の人物を確認、それは母ヒルダだった。

 

3号機がアーガマから離れたのを見て、ジェリドはエマ中尉が戻ったと勘違いしたが、合流の合図が出されないことから、コクピットにいるのはアーガマの乗員で、カプセルを奪おうとしていると判断、カプセルの狙撃に向かう。

 

カミーユはカプセルに肉薄、内部のヒルダは恐怖に怯えた表情で、必死に何かを訴えかけようとしていた。その母の姿を見て、なぜかカミーユは苛立つ。仕事一辺倒だった母に対する屈折した思いと、状況の異様さに心をうまくコントロールできない若さが、そうさせたようだ。

 

カプセルに手を伸ばしたマークⅡ3号機を見て、ハイザックジェリド中尉が「沈め」という掛け声とともに砲撃、カプセルは粉々に砕け、ヒルダは生身のまま漆黒の宇宙に放り出される。カプセルが爆発しないことにジェリドは失望したが、すぐに、周辺の宙域にただならぬ雰囲気が漂っていることを感じ取り、異様なまでの不快感を覚える。

 

目の前で母を殺されたカミーユは、呻きとも悲鳴ともつかぬ叫びを上げるのだった──。

 

というところで、第3話が終了。

今回の死者は以下だ。

 

【確定死者数】

モビルスーツ搭乗員1名──クワトロ・バジーナリック・ディアスの砲撃により

ヒルダ・ビダン──指示を下したのはバスク・オム大佐、手を下したのはジェリド・メサ中尉/ハイザックの銃撃

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【計2名】

 

この物語を成立させるために、今日も人が殺された。