死者メーター

物語の中で死んだ人々の数をカウントしていく、ただそれだけのゆるいブログです

機動戦士ガンダム第43話「脱出」で死んだ人数をカウントしてみた(死者メーター49)

人は物語の中でいとも簡単に人を殺し、それを読んだり鑑たりして、喜怒哀楽の感情を激しく発露させる。

 

古今東西、物語の中ではいったいどれだけの人々が殺されてきたのか。これは、その数をカウントし、名も無き死者に哀悼の念を捧げるためのブログである。その名も「死者メーター」。

 

今回は『機動戦士ガンダム第43話:脱出』を取り上げ、その死者数のカウントを試みる。

 

第1話はこちら ↓

死者メーター1:機動戦士ガンダム第1話『ガンダム、大地に立つ』 - 死者メーター

 

目次                                           

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【あらすじ】

ジオン軍の最終防衛拠点ア・バオア・クーでは、アムロガンダム)とシャア(ジオング)が、地球連邦軍ジオン軍が、決着をつけるために死に物狂いで戦っていた。お互いに傷つき、戦いの場をア・バオア・クーに、戦いの手段を肉体に移したアムロとシャア。アムロは問いかける。なぜララァを戦いに巻き込んだのかと──。

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【ストーリーの流れ(ネタバレ注意)】

最終話となる第43話は、ガンダムアムロ)とジオング(シャア)の戦いで幕を開ける。ニュータイプ能力で上回るアムロが、戦いを優勢に進めていく。

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ア・バオア・クーでも、敵味方入り乱れての大激戦が展開されていた。ここで、セイラが駆るGファイターがガトル戦闘爆撃機1機を撃墜する。カイのガンキャノン、ハヤトのガンタンクア・バオア・クーに取りつき、カイがビームキャノンを連射して突破口を開くが、一番乗りをジムやボールに奪われてしまい、悔しさでカイは歯ぎしりする。しかし、先行してカイの一番乗りを横取りしたかっこうとなったジム2機、ボール1機は即座に返り討ちに遭ってしまう

 

ア・バオア・クー攻防戦にまるで関心がないかのように、ガンダムジオングは一騎打ちを続けていた。アムロは「なぜララァを戦いに巻き込んだのだ」とシャアを責め、ジオングを追い詰めてく。双方とも被弾し、ジオンは両腕(メガ粒子砲)を失い、ガンダムもシールドごと左腕を吹き飛ばされた。勝ち目がないと悟ったジオングは逃走を図り、ガンダムがそれを追う。

 

ア・バオア・クーへは、ジムやボールなどのモビルスーツだけでなく戦艦も取りつくようになり、ノーマルスーツを着用した連邦軍兵士らがア・バオア・クー内部に踏み入れる。その背後で、ジム1機が流れ弾に当たって破壊された

 

ア・バオア・クーに肉薄したホワイトベースの左エンジンを、ア・バオア・クーから放たれたメガ粒子砲と思われるビームが貫き、ブライトはエンジンの急速閉鎖と切り離しを指示、コントロール不能となったホワイトベースは、ア・バオア・クー内に不時着した。ブライトは、クルーに対し白兵戦への備えを命じた。

 

身動きが取れなくなったホワイトベースの右エンジンに対し、リックドムが至近距離からバズーカを命中させる。これにより、ホワイトベースは航行不能となった。ホワイトベースの窮地を見かねたカイとハヤトが駆け付け、援護に回る。

 

一方、逃げられないと観念したのか、シャアは再びガンダムを攻撃。しかしアムロは攻撃をすべてかわし、シャアの視界から消える。ガンダムを見失ったシャアは焦り、周囲に目を凝らしたその瞬間、真正面にガンダムが現れ、ビームライフルで胴体の中央部を貫かれる。アムロは、その位置にコクピットがあると予想していたものの、命中させた瞬間、鋭い洞察力でコクピットが別の場所にあることを悟った。

 

実際、ジオングコクピットは頭部にあり、シャアは頭部を胴体から切り離してその場から脱出。ジオングの胴体は大破。しかし頭部だけになったジオングの攻撃で、ガンダムは頭部を吹き飛ばされる。ボディを失い識別信号の発信が不可能になったジオングは、ア・バオア・クーの指令室から「撃墜された」と認識され、キシリアは激しく失望する。

 

戦況の悪化を受け、キシリアは、トワニング准将に命じて、ひそかに脱出の手はずを整えさせていた。トワニングに対し、「私の脱出後、降伏しろ」と命じる。トワニングは「脱出するには、時すでに遅い」と難色を示すが、キシリアは「私が生き残らなければ、ジオンが終わってしまう。何としても生き延びねば」と、トワニングを強引に説き伏せる。

 

「船長は船と運命をともにするものだ」という典型的な武人気質を持っていた弟のドズル・ザビとは対照的に、キシリアはわが身が可愛いようだ。「ジオンの血が絶える」云々の正当化をしているが、ミネバ・ザビが生き残っている以上、主張に説得力がない。こんなことを言うと世の女性たちから猛反発を受けそうだが、確かに女性には、キシリアのような「自分さえ安泰なら、他はどうなってもいい」と考えるタイプの人が多い気がする。もちろん、男性にもいるけどね。

 

さて、不時着を余儀なくされたホワイトベースは、奮戦を続けていた。怒涛のように押し寄せる敵に対し、総員で対処にあたり、機銃でリックドム1機を撃墜する。ブライトも機銃を手にして、白兵戦に臨む。

ガンダムカードビルダー CE-0006 ブライト・ノア
 

頭部と左腕を失ったガンダム、頭部のみになったジオングは、戦いの場をア・バオア・クー内に移していた。ジオングを追って、ア・バオア・クーの奥深くに向かって歩き出すガンダム。その先で、ジオングが待ち構えていることを予想したアムロは、ガンダムを自動操縦に切り替え、自らはコクピットから離脱し身を潜める。

 

実際、ジオングは罠を張っていた。自動操縦のガンダムが通路から出て、姿を露わにした瞬間、上方で待ち構えていたジオングガンダム目がけてメガ粒子砲で砲撃、(なぜそんなことができるのかわからないが)ガンダムも仁王立ち状態でビームライフルを上方に向けて撃つ。ガンダムは右半分を溶かされてその場に倒れこみ、(事実上)沈む。ジオングも被弾するが、撃破には至らなかった。

 

アムロは、ジオングが放ったメガ粒子砲の爆風で、上方に吹き飛ばされる。通路に降り立ったアムロは、「今の自分なら、ザビ家のボスが誰だかわかる。倒せるかも」とつぶやくと、(いつジオング頭部から抜け出したのか不明だが)シャアが背後から、「お前のその力は、もしかするとララァが与えてくれたのかもしれないぞ」と声をかける。振り向き、銃を向けるアムロ

 

しばし、アムロとシャアのニュータイプ問答が繰り広げられる。ここの問答は大変面白いので、一見の価値あり。お互いに譲れない2人は、銃による肉弾戦を繰り広げる。アムロが先制し、手傷を負ったシャアは、その場から逃走を図る。

 

ホワイトベースの乗組員らは、死に物狂いの戦いを続けていた。ハヤトのガンタンクは、ザク1機を撃滅。しかしガンタンクも被弾して激しく損傷、ハヤトはコクピットを脱出した。事実上、ガンタンクは討ち取られたことになる。

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ガンタンクの戦線離脱により、カイのガンキャノンがただ1機で、ホワイトベースを援護することになる。ガンキャノンは迫るリックドム1機を仕留めるものの、反撃に遭って右足を吹き飛ばされ、その場にへたり込む。そこへたまたま真正面からザク1機が現れ、カイはキャノン砲を放ってこれを撃滅する。すべての弾を撃ち尽くしたのか、カイはライフルを手にして、ガンキャノンを離脱する。

ホワイトベースのそばへ、傷ついたセイラのGファイターが不時着。セイラもコクピットから抜け出す。最終回となり、ストーリー上不要となったガンダムガンキャノンガンタンクGファイターはすべて離脱したことになる、というか、離脱させられた(厳密にいえば、ガンダムはこの後も少しだけ活躍する)。

 

仲間を気遣い、ホワイトベースへ向かうセイラ。ホワイトベースは、集中砲火を浴びていた。ニュータイプ能力が開花したのか、セイラは近くにシャアの存在を感じ取り、方向転換して、シャアがいると思しき場所を目指す。このとき通路内に、死んだ(と思われる)ジオン兵2名がプカプカ浮いている。死者としてカウントしておこう。

 

何かに導かれるようにア・バオア・クー内を進むセイラ。アムロとシャアが肉弾戦を繰り広げている部屋の近くに差し掛かったとき、前方で爆発が起こり、ジオン兵1名が吹き飛ばされるキシリアは脱出用のザンジバルに乗り込み、「他の兵に気づかれるなよ」と部下に釘を刺す。

 

肖像画が掛けられた客室と思われる部屋に近づいたセイラは、剣撃と男2人が言い争う声を耳にする。そこでは、アムロとシャアがフェンシング剣で斬り合っていた。無重力環境にも関わらず、2人は身体を自在に動かしており、そんなことが可能なのかよと疑問に思ってしまったが、大目に見ることにしよう。ついでにいうと、着用したジェットパックを使って室内をそれこそ上下左右のあちこちの方向へ自在に飛び回っているのだが、そんなことできるのだろうか。

 

セイラは「戦争だからって、2人が戦う必要はない」と止めに入るが、アムロとシャアは聞こえないのか、戦いを続ける。アムロのフェンシング剣がヘルメット越しにシャアの額に傷をつけ、シャアのフェンシング剣はアムロの右腕を貫いた。もつれ合った2人は、思念を交錯させ、お互いの脳裏にララァのイメージが浮かぶ。

 

再び言い争いを始めた2人をセイラが止めに入ろうとした瞬間、セイラの背後で爆発が起こり、3人は吹き飛ばされる。傷ついてグッタリするアムロを殺害するため近づいたシャアを、セイラが静止。シャアは「この男は危険すぎる。助かりたいなら、同志になれ」といった趣旨のことをセイラに言う。このときのやり取りで、シャアの目的が「人類をニュータイプへの進化させること」にあり、ザビ家打倒は「ついでのことに過ぎない」ことが明らかとなる。

 

近傍でまた爆発が起こり、アムロは室外へ飛ばされ、燃え盛る炎の方向に飛ばされたセイラを、シャアがすんでのところで救出する。シャアとセイラ兄妹から離れたアムロは、貫かれた右腕の患部を救急セットで応急処置した。

 

どこへ向かっていたのかしらないが、シャアとセイラは、瀕死の重傷を負って通路に横たわっていたジオン将兵のそばへ駆け寄る。その将兵は、キシリア脱出の手はずを整えた直後、何らかの理由で重症を負った模様。将兵は「キシリア様を頼む」と声を絞り出し、息絶えた将兵の弁で、シャアはキシリアが脱出を目論んでいたことを知る。

 

将兵を看取ったシャアは、セイラに「脱出しろ」と伝えると、漂っていたバズーカを手にし、「ザビ家の人間は許せない」とキシリア暗殺に向かう。今まさに出航(脱出)しようとしていたザンジバルのドックに到着したシャアは、ブリッジのガラス越しにキシリアの姿を確認。軽く敬礼した後、至近距離からバズーカを構え、キシリアに照準を合わせた。キシリアはすべてを察し、息をのんだ直後にバズーカで頭部を吹き飛ばされる

ガンダムカードビルダー CZ-0005 キシリア・ザビ
 

主(キシリア)の死を知る由もないザンジバルア・バオア・クーからの脱出を試みるが、四方から集中砲火を浴びて沈んだザンジバルは大爆発、シャアの生死は不明である。

 

指揮官(キシリア)を失ったア・バオア・クージオン軍)は、事実上、陥落(敗北)した。ザンジバル大爆発の余波がア・バオア・クー内に広がり、アムロとセイラの脱出を困難にする。アムロの右手で爆発が起こり、ジオン兵1名が吹き飛ばされてアムロの身体に激突した。

 

吹き飛ばされたアムロア・バオア・クーの深部へ追いやられ、「ここまでか」と観念する。ところが前方に、放棄したガンダムの姿を発見し、(ガンダムを構成するパーツのひとつである)コアファイターによる脱出に一縷の望みを託す。助かる可能性を見い出したアムロは、ホワイトベースの仲間たちの身を案じる心の余裕を取り戻した。

 

ララァの思念と交感したアムロの脳裏に、必死で戦う仲間たちの姿が浮かぶ。ブライトやミライ、フラウ・ボゥらの戦う光景の後、カイがジオン兵1名を射殺している姿を透視した。絶望的な状況に置かれた仲間たちを助けるべく、アムロは思念を使って語りかけ、各人の脱出を誘導する。

 

アムロの指示どおりに動き始めたセイラは、途中で遭遇したジオン兵1名を射殺。ブライトは、アムロから乗組員全員に対し「退艦命令」を出すよう促され、ミライは、脱出用スペースランチの準備を提案される。

 

フラウ・ボゥとカツ、レツ、キッカに対し、「銃撃が止んだら、スペースランチへ向かえ」と伝え、指示どおりにフラウ・ボゥが走り出したとき、通路内に横たわる連邦軍兵士の姿が描写されている。死者としてカウントしておこう。この後、この物語において、死者は発生しない。つまり、機動戦士ガンダム43話における最後の死者が、この名もなき連邦軍兵士なのだ。謹んで、哀悼の意をささげたい

 

アムロが誘導したとおりの道順で通路を進んでいたセイラは、前方にホワイトベースの姿を確認。その直後、近傍で爆発が起こり、セイラの身体は虚空に向かって飛ばされるが、ホワイトベースの仲間が乗り込んでいたスペースランチに回収され、難を逃れる。

ガンダムカードビルダー ME-0074 スペース・ランチ
 

 

セイラの救出を確認したブライトは、スペースランチ2艇の発進(すなわち脱出)を命じた。その直後、サイド7以来、幾多の困難をともにしてきたホワイトベースは沈み、乗組員は絶句。ブライトは、大爆発するホワイトベースに向かって敬礼した。ブライトは、脱出を呼び掛けてくれたアムロに礼を言った。

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当のアムロは脱出できておらず、スペースランチに乗っていなかった。その事実を知ったセイラは、ショックでへたり込む。ブライトは、「セイラは我々よりもニュータイプの素養を持っているはず。力を使って、アムロを探してくれ」と懇願するが、セイラにはアムロの姿が見えない(居場所がわからない)。セイラは「人間がそんな簡単に便利になれるはずがない」と絶望する。

 

ところが、アムロの存在(位置)を正確に知覚している人物がいた。これまで「脇役」として物語を盛り上げてくれたかつ、レツ、キッカの3人である。ニュータイプ能力に目覚めたカツ、レツ、キッカは迷子状態に陥っていたアムロを誘導、3人の思念による案内にしたがってコアファイターを飛ばしたアムロは、間一髪のところでア・バオア・クーの脱出に成功した。アムロ生存を確認したホワイトベースのクルーたちは、歓声を上げる。

 

虚空を漂うコアファイターから、スペースランチとそこに乗り組む仲間たちの姿を確認したアムロは、「還る場所がある。これほど素晴らしいことはない」と涙を流し、ララァに別れを告げた後、コアファイターの操縦席から、仲間が待つスペースランチに向かって、その身を投げ出した──。

 

というところで、第43話が終了。

いやー、面白かった。さすが名作アニメと謳われるだけのことはある。制作されたのは40年以上も前だけど、いま見ても全く色褪せていないね。

 

ストーリーの解析や背景分析はその他大勢に任せておいて、個人的には、1話1話の内容が濃密なことに感心した。正味20分くらいの各エピソードに、よくぞまあ、あれだけの内容を盛り込めたものだ。作者の「省略」能力の高さに、驚かされた。

次は、Zガンダムの死者数カウントに挑みます!

 

さて、最終話の死者は以下だ。

見方は、死者──殺害者/殺害方法 である。

 

【確定死者数】

ガトル戦闘爆撃機搭乗員1名──セイラ・マスGファイターのビーム

ジム搭乗員1名──不明/ア・バオア・クーからの反撃

ジム搭乗員1名──不明/ア・バオア・クーからの反撃

ボール搭乗員1名──不明/ア・バオア・クーからの反撃

ジム搭乗員1名──不明/流れ弾

リックドム搭乗員1名──不明/ホワイトベースの機銃

ザク搭乗員1名──ハヤト・コバヤシガンタンクのミサイル

リックドム搭乗員1名──カイ・シデンガンキャノンビームライフル

ザク搭乗員1名──カイ・シデン/へたり込んだガンキャノンのキャノン砲

ア・バオア・クー内にプカプカ浮かぶジオン軍兵士2名──不明/不明

アムロvsシャアの肉弾戦が行われている部屋近くの通路でジオン軍兵士1名──不明/爆風で吹き飛ばされる

ジオン軍将兵──不明/不明

キシリア・ザビ──シャア・アズナブル/バズーカ砲で頭部を吹き飛ばされる

ザンジバル乗員300名──不明/連邦軍からの集中砲火

ジオン軍兵士1名──なし/爆発で吹き飛ばされ、アムロに激突

ジオン軍兵士1名──カイ・シデン/射殺

ジオン軍兵士1名──セイラ・マス/脱出時に射殺

通路内に横たわる連邦軍兵士1名──不明/不明

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【計318名】

 

この物語を成立させるために、今日も多くの人が殺された。 

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