機動戦士ガンダム第41話「光る宇宙」で死んだ人数をカウントしてみた(死者メーター47)
人は物語の中でいとも簡単に人を殺し、それを読んだり鑑たりして、喜怒哀楽の感情を激しく発露させる。
古今東西、物語の中ではいったいどれだけの人々が殺されてきたのか。これは、その数をカウントし、名も無き死者に哀悼の念を捧げるためのブログである。その名も「死者メーター」。
今回は『機動戦士ガンダム第41話:光る宇宙』を取り上げ、その死者数のカウントを試みる。
第1話はこちら ↓
死者メーター1:機動戦士ガンダム第1話『ガンダム、大地に立つ』 - 死者メーター
目次
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【あらすじ】
アムロとララァが、ついに戦場で相まみえる。 激しい戦いのさ中、ニュータイプ同士の高い感応力でお互いに理解を深め合い、急接近する2人。ララァを失いたくないシャアは激しく嫉妬し、2人の間に割って入る。アムロに圧倒されるシャアをかばい、ララァはその命を激しく散らした──。
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【ストーリーの流れ(ネタバレ注意)】
敗勢濃厚を覚ったジオンのデギン・ザビ公王は、和平によって局面の打開を図るため、グワジン級グレート・デギンでジオンを独断で出立し、レビル将軍率いる連邦軍艦隊へ向かった。その様子を、ギレン・ザビは冷ややかな表情を浮かべて見送る。
その頃、グワジン内の一室でキシリア・ザビとシャアが会談していた。キシリアは、シャアの真意を問いただす。以前から、キシリアはシャアの素性に気づいており、シャアがジオン・ズム・ダイクンの息子、すなわちキャスバル・レム・ダイクンであること、そしてザビ家打倒と、ニュータイプ主導による世界の構築を目論んでいることを知っていた。
キシリアは、有能なシャアを、キシリア自身の目的を達成するために不可欠な存在として、自分の身に危険が及ぶことを承知であえてシャアを重用していたのだ。おそらくキシリアは、兄であるギレンの打倒を画策しており、そのための駒として、シャアを利用するつもりでいるのだろう。キシリアは「後のことは、すべて連邦に勝ってからのことだ」と、シャアに言い含める。要は、お互いにお互いを利用し合おう、ということらしい。
ホワイトベースでは、対エルメス(すなわち対ニュータイプ)に関するミーティングが行なわれていた。以前はニュータイプの存在に否定的だったホワイトベースのクルーたちも、この頃になるとその存在を受け入れるようになっており、エルメスに対抗するには、同じニュータイプであるアムロをぶつけるしかないという結論に達していた。アムロ自身も、ララァとの邂逅により、自身がニュータイプに変貌しつつあることを自覚していた。
キシリア麾下の艦隊は連邦軍艦隊を攻撃、シャアのザンジバルは先陣を切って特攻をかける。シャアは自らもゲルググで出撃するが、ともに出撃するララァに対し、「君のほうが優れているから、君の指示に従う」と伝え、2人は口づけをかわした。ここでララァは、「今日からノーマルスーツ(簡易宇宙服)を着用して」とシャアに要請、シャアは「出撃しても生きて還る主義」であるため、これまでノーマルスーツを着用することはなかったが、このときばかりはララァの指示に従った。
敵艦隊の接近に対し、ホワイトベースからはガンダムら、サラミスからは無数のジムとボールが出撃した。
激しい戦いが始まった。まずザンジバルが、Jミサイルでマゼラン1隻を沈める。連邦軍も反撃し、ムサイ1隻を撃沈する。さらにホワイトベースの主砲が直撃し、ムサイ1隻が沈んだ。この後、ホワイトベースのオペレータが「双方2隻ずつ撃沈!」と伝えていることから、連邦軍の(おそらく)サラミス1隻が沈められたと推定されるため、死者200名をカウントしておこう。
艦隊戦がひといきついた後、戦いはモビルスーツ戦に移行する。
最初に、セイラのGファイターがリックドム1機を撃破。一方で、ボール1機が何者かによって殲滅させられる。
そして、ついにガンダムとエルメスが戦場で相対する。エルメスのララァは、無数のビットでガンダムを猛攻撃。しかしアムロは攻撃を読み切り、すべてのビットを撃ち落とす。ララァはエルメスで特攻、直接攻撃を仕掛ける。
このとき、アムロとララァはお互いの存在を強く知覚。2人はニュータイプとして感応し合い、驚くべきことにまだニュータイプ能力に目覚め始めたばかりだというのに、離れていながら、ほぼ日常会話レベルのコミュニケーションを行なう。喩えるなら、英語や中国語を習い始めたほんの数日後に、ネイティブとスラスラ会話できるようになったみたいなものだ。
「なぜ戦う?」というアムロの問いに、ララァは「シャアを苛めるから。あなたを倒さなければ、シャアが死ぬことになる」と返答し、アムロを驚愕させる。
ララァは続けて「アムロが来るのが遅すぎた」と、憤りをぶつける。アムロに惹かれていることを認めつつも、先に出会い、自分を拾い上げてくれたシャアに背を向けることができないという、苦しい胸の内を吐露した。その後も、ララァはガンダムを攻撃するが、アムロはことごとくかわす。そしてララァは、「あなたには守るべきものがないのに、なぜ戦えるのか」という、アムロの痛いところを突く問いを発した。アムロは動揺する。
その後、宙域ではモビルスーツ戦が続く。ガンキャノンがリックドム1機を撃破。対し、ジム1機が破壊される。さらに、(おそらく)セイラのGファイターがリックドム1機を撃ち落とす。ザンジバルから、シャアがゲルググで出撃した。
アムロとララァは、戦いながら思念で会話を続けていた。「理由がなければ、戦ってはいけないのか」というアムロの反論に、ララァは「それは不自然。自分は、自分を助けてくれた人のために戦っている」と一蹴。対し、アムロが「じゃあ、この出会いは何?」と聞くと、ララァは我に帰ったように「運命だ」とつぶやき、アムロも「運命だから、認めなければいけない」と同調、2人の心はさらに接近する。それに気づき、ララァを奪われたくない一心でシャアが2人の間に割って入る。
シャアの登場により、まるで眠りから覚めたような表情を見せるララァ。シャアの要請にこたえ、ララァはゲルググと連携してガンダムを攻撃する。そこへ、セイラのGファイターが登場、ゲルググがビーム薙刀でGファイターのコクピットを薙ぎ払おうとした瞬間、ララァが高いニュータイプ能力で、Gファイターのパイロットがシャアの妹であることを察知し、「大佐、いけない!」と絶叫する。
その声でセイラ(アルテイシア)の存在に気づき、すんでのところで攻撃を中止したゲルググだったが、そこに隙が生まれ、踏み込んできたガンダムに右腕を斬り落とされる。アムロはとどめを刺そうとゲルググに肉薄、シャアは自らの敗北(すなわち死)を悟るが、「大佐!!!」という絶叫とともに、ララァのエルメスが、ガンダムとゲルググの間に割って入る。ゲルググをかばったエルメスのコクピットを、ガンダムのビームサーベルが貫き、エルメスは大爆発、ララァ・スンは若い命を散らす。死の瞬間、ララァとアムロの思念は激しく、そして優しく交錯する。ララァは「刻が見える」と囁き、絶命した。
ララァの死に、アムロは滂沱の涙を流し、シャアは取り乱して拳を激しくコンソールに叩きつけた。
一方で艦隊戦は続いており、リックドム1機が流れ弾に当たって破壊される。さらに、サラミス1隻、ムサイ1隻が、ともに集中砲火を浴びて沈む。最後に、ホワイトベースめがけて特攻していたザンジバルが、ホワイトベースの主砲の直撃を受けて大破した。ザンジバルの乗員数は不明だが、連邦軍のマゼランとほぼ同サイズであることを考慮して、300名を死者としてカウントしておく。
ザンジバルが沈み、帰還場所を失ったシャアは、キシリアが座乗するグワジンへ。グワジン以外のすべての艦、そしてララァのエルメスを失ったキシリアは、大敗北に茫然となる。そのキシリアのもとにギレン・ザビから「連邦軍を一掃するため、30分後にソーラ・レイを使用する。退避せよ」との急報が入る。連絡があまりにも急であることから、キシリアは背後に企みがあるのではないかと勘ぐる。
その頃、レビル将軍が率いる地球連邦軍の大艦隊がとある宙域に集結していた。レビル将軍は攻撃目標を明らかにし、ア・バオア・クーを落とした後、ジオン本国に侵攻すると宣言。そのレビルのもとを、デギン公王が座上するグレート・デギンが和平交渉のため訪れた。
一方、ア・バオア・クーのギレン・ザビは、ソーラ・レイを「ゲルドルバ照準」で発射すれば、連邦軍主力の3分の1を殲滅できると伝え、劣勢を強いられている全軍を鼓舞する。この「ゲルドルバ」という言葉、聞きなれないが、ジオン軍が設定した特定宙域の呼称らしい。言葉の響きが良く、この言葉を考案した人物はセンスがいいなと思った(富野由悠季氏自身で考えたのかな?)。
そしてギレン・ザビは、ソーラ・レイの「ゲルドルバ照準」による発射を命令した。ソーラ・レイとは、スペースコロニーをレーザー照射装置に改造したもので、調べたところ、その直径は6・5㎞に達する。つまり口径6・5㎞の超巨大レーザー砲ということになる。
発射準備を整えたソーラ・レイがついに火を噴き、「ゲルドルバ」の宙域を目指して、巨大な光の帯が宇宙を突き進んでいく。その閃光は、遠く離れたホワイトベースのブリッジからも観測された。
というところで、第41話が終了。
今回の死者は以下だ。
見方は、死者──殺害者/殺害方法 である。
【確定死者数】
ムサイ級軽巡洋艦200名──不明/艦隊戦で沈む
サラミス級巡洋艦200名──不明/オペレータのマーカーが言及
ボール搭乗員1名──不明/流れ弾
リックドム搭乗員1名──カイ・シデン/ガンキャノンのキャノン砲
ジム搭乗員1名──不明/不明
リックドム搭乗員1名──不明/流れ弾のミサイル
ムサイ級軽巡洋艦200名──不明/同上
ザンジバル乗員300名──不明/ホワイトベースからの集中砲火
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【計1607名】
この物語を成立させるために、今日も人が殺された。