機動戦士ガンダム第21話「激闘は憎しみ深く」における死者数をカウントしてみた(死者メーター25)
人は物語の中でいとも簡単に軽々しく扱われ、物語から強制退場させられる。そして、それを読んだり鑑たりして、喜怒哀楽の感情を激しく発露させる。
古今東西、物語の中ではいったいどれだけの人々が強制的に退場させられてきたのか。これは、その数をカウントし、そういった人々に哀悼の念を捧げるためのブログである。その名も「死者メーター」。
今回は『機動戦士ガンダム第21話:激闘は憎しみ深く』を取り上げ、その死者数のカウントを試みる。
第1話はこちら ↓
死者メーター1:機動戦士ガンダム第1話『ガンダム、大地に立つ』 - 死者メーター
目次
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【あらすじ】
ランバ・ラルの戦死を受け、残されたハモンら残存部隊は、ホワイトベースに対し、仇討ちの総攻撃をかける。爆薬を満載したカーゴの特攻を食い止めたガンダム。その背後に回ったハモンのマゼラトップの砲門が超至近距離から火を噴いた次の瞬間、どこからともなく現れたコアファイターがマゼラトップに特攻する──。
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【ストーリーの流れ(ネタバレ注意)】
ランバ・ラルの物語退場後、残されたハモンと16名の兵たちは仇討ちのための作戦を立案していた。ハモンは兵の前で作戦への決意を表明すると同時に、「不服があるものは、参加しなくても構わない」と伝える。そして、兵の一人ひとりと握手をかわし、出撃する。なお、握手をする際に、最初の3人に関してハモンは兵の名を呼んでいるので記載しておく。それぞれトルガン、ミサキ、イリューシンである。
個人的に思ったことは、なぜこの3人だけ名前が与えられたか、まったくの謎ということである。物語の伏線として機能するわけでもないのに・・・。
一方、ホワイトベースも先の戦闘で大きく傷つき、修理と補給を必要としていた。ブライトは、アムロに再び独房入りを命じる。負傷してベッドで休んでいたリュウはそのことを気にかけていた。本来なら絶対安静の身ながら、リュウは気力を奮い起こしてブリッジへ赴き、ブライトに「アムロとちゃんと話し合え」と諭す。その足でリュウはアムロの独房へ赴き、「期待しているぞ」と声をかける。
そのホワイトベースに対し、ハモン率いるランバ・ラル隊の残存部隊が攻撃を仕掛ける。最初に、ザクが背後から銃撃、ホワイトベースは被弾する。即座に、カイ搭乗のガンキャノンが応戦する。ハヤトとジョブジョンが操縦するガンタンクは故障して、崖の上で立ち往生してしまう。その隙に、ザクがホワイトベースに激しい銃撃を浴びせる。危険を感じたリュウは、セイラに対し「アムロを独房から出して出撃させろ。責任は俺が取る」と指示する。アムロは独房から解放され、走ってカタパルトデッキへ向かう。
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その頃、迫り来るハモンの部隊に対し、ガンキャノンは一機で応戦していた。エンジンの出力が上がらないままホワイトベースは強引に離陸するが、けっきょく浮上することができず立ち往生を余儀なくされる。戦況は芳しくなく、リュウは重症の身体を押してバギーに乗り込み、故障して停止していたガンタンクのもとへ向かう。
アムロはコアファイターで出撃し、ザクに対し攻撃を仕掛ける。アムロは、敵のサムソントップ1機を仕留める。ちょうどそこへ、ホワイトベースからガンダムパーツが発射された。アムロは、空中でガンダムに換装する。
アムロはすぐにビームライフルでサムソントップ1機を撃破。ザクがホワイトベースにとりつき、エンジンを攻撃しているのを見たアムロは、格闘戦に持ち込むべくガンダムで走り出す。そこへ、ギャロップのエンジンを搭載したギャロップの生活用ユニット「カーゴ」が現れ、ガンダムに激しい銃撃を加えてくる。まっしぐらにこちらへ向かってくるカーゴの挙動から、アムロは「これは特攻だ。機内は爆薬で満たされているに違いない」と喝破。ビームライフルでの狙撃を躊躇し、カーゴの巨体をガンダムで受け止める。
カーゴを押し返そうとするものの、前進を食い止めるのがやっとのガンダム。ハモンはザクに搭乗するタチに「背後からガンダムを倒せ」と指示、ザクはホワイトベースから離れ、斧でガンダムに斬りかかった。そこへ、マゼラトップが銃撃を加えてくる。その銃撃をかわすため、ガンダムは片手で背後のザクを持ち上げ、「盾」にして銃撃をかわし、そのまま上空にザクを放り投げる。空中でザクとマゼラトップが激突し、両機とも大爆発を起こす。その様子をマゼラトップのコクピットから見ていたハモンは「さすが」と唸る。
ハモンは自ら操るマゼラトップを、身動きがとれないガンダムの真後ろにピタリとつける。そして「いくら装甲が厚いガンダムでも、この至近距離から撃てばもたないだろう」と呟き、砲撃する。損傷するガンダム、あわやというところで、リュウが操縦するコアファイターがマゼラトップに特攻を仕掛け、リュウとハモンはホワイトベースの乗組員たちの目の前で四散する。
アムロは機転を利かせてカーゴを押し戻し、残ったマゼラトップ1機を屠った後、カーゴにビームライフルを打ち込んで破壊した。これにて戦闘は終了、ランバ・ラル隊の残存部隊は全滅した。
リュウ・ホセイは特攻により戦死したわけだが、初見時、この特攻に違和感を覚えたことを記憶している。 「特攻しなくても、砲撃すれば充分だろうに」と思ったのだ。死ぬ必要が特になさそうな登場人物が無理やり戦死させられたとき、必ず何らかの意図が働いている。
機動戦士ガンダムのテーマのひとつは、少年兵らの成長だ。リュウは当初から少年兵らの「指導係」「叱咤係」のような役回りを演じさせられており、リュウが生き残り続けてしまうと、アムロら少年兵は彼に甘えて、いつまで経っても成長できない、あるいは、成長しようとしない。少年兵らを精神的に成長させ、物語を先へ進めるために、リュウにはご退場願ったというところが戦死の理由なのだろう。
ここで一句浮かんだ。
「要らぬなら 殺してしまえ リュウホセイ」
さよならリュウ。君のことは忘れない。
話に戻ろう。
なお、今回の作戦に出撃したハモン率いる部隊は、ハモン+16名である。撃破されたサムソントップに2名、マゼラトップに2名、ザクに1名が乗っていたことは判明しており、それ以外の11名については描写はないが、全滅したことは間違いないのでカウントしておく。
コアファイターで特攻したパイロットがリュウだったことを知り、ホワイトベースのクルーたちは泣き崩れる。
というところで、第21話が終了。
今回の死者は以下だ。
【確定退場者数】
サムソントップ搭乗員1名──アムロ・レイ/コアファイターの銃撃
サムソントップ搭乗員1名──アムロ・レイ/ガンダムのビームライフル
クラウレ・ハモン──リュウ・ホセイ/コアファイターの特攻により
マゼラトップ搭乗員1名──アムロ・レイ/ガンダムのビームライフル
ランバ・ラル隊の残存兵11名──不明/不明
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【計18名】
この物語を成立させるために、今日も人が殺された。
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